やったやつ
公演記録
第拾壱回放演 『しおとさとう』
G/PITチャレンジフェスティバル2015
グランプリ受賞作品

踏切の警報音が響いている。
タタンタタン、と電車が通る。警報音は消えない。
「次に、乗る」
サトーちゃんは口元に笑みを浮かべ、私はポケットに手を突っ込んで過ぎ去った列車の想影を睨んでいました。
「言う?」
「何?」
「乗るって言う?」
「んー、いいじゃない。ほら、そのほうが、キレイ。」
そう言ってサトーちゃんはまた笑う。
愛くるしく、小憎たらしく、笑う。
警報音と、遠くから迫る鉄塊の唸り声。
「じゃあね」
そう言ってサトーちゃんは木っ端微塵に砕け散りました。
去年、自分の命のリミットと定めた今日、その宣言通りに彼女は砕けたんです。
私はそれを、ただ、ぼんやりと眺めていることしかできませんでした――
日時・場所
2015年2月13日(金)~15日(日)
伏見 G/PIT
作・演出
天野順一朗
出演
ヤマモトアヤ
まさる(サイクロンメガネ@どっかんプロ)
吉田汐美
さとうあやな
不動湧心
天野順一朗
結城ゼミナール
作家・天野のつぶやき
G/PITチャレンジフェスティバル2015参加作品です。
今まで放電家族がやってきたことを、違う形(作風・内容)で外に出そうと試行錯誤した作品です。
笑いを抑え、ミステリの要素を濃くしてみましたが、色々な発見がありました。